働き方改革法案関連で変わると思うこと。 その2

「働き方改革法案関連で変わると思うこと。 その1」の記事の続編です。

 「実績把握が必要になってくる」と前回話を進めてきました。では、現在の把握方法が十分なのか、新たに何か工夫が必要となるのか考えてみたいと思います。
 実績把握の目的は「話会える労使」になる為、

 1.実態を把握(時間実績)
 2.実績を分析に反映

 ということの結果、データが労使双方コミニュケーションの基本材料となってくれる事への期待と、各方面への証拠付けとしての利用でした。
 
 出勤~退勤を「勤務時間」として一律に把握する方法では、どの業務を実際に行っていたのか把握するのは困難です。実際としては、把握できる粒度を元に、話し合いやすい仕組みを作っていくことが答えとなりますが、どこまでの粒度で運用できるのかを把握しておけると運用と仕組み作りが見えてくると思います。一つの把握方法の例示と、それをサポートする低コストツールを組み合わせてここでは説明いたします。




  
  


 まず業務定義です。業務範囲(とその名称)を定義していきます。実際に業務に当たられる方の使用する名称に近いことが望ましいです。ここからは、想定するアイデアです。その後似通った分類項目(業務従事者の特性を規定するもの。上図の”複雑性”や”資格”など)用いてを共有する業務をまとまり(上図の業務群A~C)として束ねます。この束ねた業務群に従事した時間が、例えば70%~100%の人には、その業務群を主に扱う人員の賃金を支給するというものです。実績の把握としては、賃金支払い用途には業務群レベルでもいいのですが、分析活用や、より納得性のある実績把握のために各業務レベルでの把握になる事が考えられます。
 また、働き方改革法案の軸にある「脱時間給」というの一つの形としての出来高払い実現の為には、業務別の時間に合わせて個人レベルなどの物量の把握も必要となってきます。
 普段からVRIを管理手法として顧客企業様に推奨する際に使用してるタブレットを利用したツールが、この用途にも非常に近いと考えられます(https://www.bf-research-vri.com/ツール紹介/)。

 実態としては、人材不足の昨今では、これらを構築し、運用する人材の不足も叫ばれているのが、どこかしこに聞こえてきますから、一筋縄ではいかない部分と思います。しかし、物流だけではなく人を抱えるオペレーションすべてに言える課題ですのでいろいろなアイデアが出てくるのも今後ご紹介できたらと思います。





 

働き方改革法案関連で変わると思うこと。 その1

 今回は、物流センターと働き方改革法案を見ていきたい。
 各人が持つ物流センターのイメージが異なることや、今後の世相のイメージが異なることから、読み進みにくいところもあると思いますが、一つの可能性として読み進めてもらえると良いと思います。
 ここでは、昨今の企業の競争環境という背景から大きな力を受けて、おおよそこんなストーリーになるのではないかと書き進んでいます。

 働き方改革法案の3つの軸として

 1)残業上限規制    (大企業2019年度4月/中小企業2020年度4月 実施開始
 2)同一労働同一賃金 (大企業2020年度4月/中小企業2021年度4月 実施開始)
 3)脱時間給       (2019年度4月実施開始)

 と、挙がっていますが、3つの軸からみられるストーリーは、まず、2)で規定できる範囲は最大限広げたいというのが、企業側の思いではないでしょうか。雇用形態(正社員、有期雇用.etc)に関わらず、同一労働同一賃金を目指すのなら、この範囲が広くなることは、業務量は変らずとも、コストは抑制できると考えられるという様な思考が働きやすいからです。この2)の範囲から外れ所を拾う役目を担う人員が正社員として配置されます。そして、ここには1)の残業上限規制が働きそうです。この辺をあいまいにするために3)の話も使われそうです。
 と、ここまで安易な適用に流されていってしまう様子(現状がそうですと言わずに・・・・)を描いてきました。
 各社の対応が適切に行われていく為のポイントとして、いろいろなところで言われているのが、

 A)基準やルールの明確化
 B)労使間での合意形成
 C)生産性の向上(本来の目的)

です。上記3つを突き詰めてみると重要なことは、「話会える労使」の姿です。
ただ世間話や天気の話をしてるのではなく、A)に沿って、現状を見ることでB)の状態となり、C)につながる会話ができ、実際に実現できる・・・・・と、理想はこうです。

 しかし、2)の同一労働同一賃金に関しては先ほどのストーリーとしては思考のスタート項目でしたが、実施時期が延期され大企業で2020年度4月、中小企業で2021年度4月となりました。3)1)2)の順で思考を始めると歪んだストーリーになりそうですが、実際その様になりました。いずれにしても「話会える労使」となるには、業務の棚卸がA)の為にも必須で、話をするにはA)を基準とした実績の把握、さらにはC)の為には実績を使った分析も話にのぼるのは当然です。深く考えなくても基準に照らして実態がどのようになっているかの説明責任を果たす為にも、実績蓄積は最低限必要になってくると思いますが、いかがでしょうか。単純な勤怠システムで、出退勤と残業時間の把握では1)、3)の説明はできても2)には不十分と感じます。

 ここら辺の話にご賛同いただけた方には、次回記事の実績把握の枠組みと方法例、それを活かした分析例を書く「働き方改革法案関連で変わると思うこと。 その2」に読み進んでもらえればと思います。物流以外にも当てはまると思います。